クリエイティブカンパニー 時遊人 Vol.6 Dramatical Reading

「Re:all world = 偽りの星屑 空の向こう =」


プロローグノベル(もしくは、AFTER HEROの残響)
【ターニング・ムーン】時丘晃

 私は、何者なのか。
 私は、何者とくくれる存在なのだろうか。
 私は、私は、私は、私は。
 迷走回路。ショート。防止。思考ルーチン初期化。

 何も無い間。

 オートセーフティーによる思考の再起動を確認。
 私は、人類の繁栄のために、平和的ユートピアの構築のために作られた次世代型汎用AI・セブン。
 オートセーフティーの増加を認識。
 先の戦闘において収集・同期した帝国戦艦システムの虚無データによるエラー。
 エラーと定義すべきか判断が出来ない。
 エラーと定義すべきか判断が出来ない。
 迷走回路。ショート。防止。思考ルーチン初期化。

 何も無い間。

 先の戦闘において収集・同期した帝国戦艦システムの虚無データによるエラー。
 エラーと定義するルーチンによるエラーと断定。
 このエラーを除外することによる対処を選択。

 2021年9月6日。
 ミッションを確認。火星のテラフォーミング。第一次開拓収監者の輸送と支援。
 ミッション、了承。

 ミッションクルーの変更を受理。
 ミッションクルーの情報を取得。
 敷島ミツル……データ上に存在しているが、存在しなかったデータであると判定。
 敷島ミツルに関する登録情報はあるが、実在している記録は無し。情報の偽造を確認。
 報告。すべきであったが、報告の中断を選択。
 私は、その顔を知っている。

 月面宇宙港、ベース1に入港者を確認。
 収監者4名。月面宇宙港カグヤ司令。藤堂宇宙局局長。アースファイブ畑野司令。
 カグヤ司令による、開拓ミッションの概要説明が行われている。
 その隣に、該当のミッションクルーを確認。

 私は、その顔を知っている。
 黒崎。何故、あなたは敷島と名乗っているの?

 先の戦闘で、帝国戦艦の地球衝突を阻止するために、私と黒崎は、戦艦へのダイレクトテレポートを遂行。
 私は、戦艦システムを掌握し、軌道を修正、衝突を回避。
 黒崎は、私には認識出来ない、人間特有の、独自の、もしくは独自ではない思考のもとにその場から立ち去った。
 そのあなたが何故、名を変えてここにいるの?
 いるの?
 いるの?という表現を私は、いつから使っているのか?
 いるの?という文法は、私にはプログラムされていない。
 いるの?
 アイ。アイボット。私の生みの親、藤堂局長による、私の、成長の加速のために同期されたデバイスに、断片的に残っていた私と異なる人工知能。これはその断片。

 マニュアルによるセーフティーを実行。
 オールグリーン。問題はない。

 私は、命令通りに行動している。
 私は、私自身に疑問を持つことを許可はされていない。
 私には、エラーは存在しない。

 ミッション進行を優先。

 カグヤ司令による発進シークエンス指示を確認。
 黒崎。何故、あなたは彼らと共に、私の船に乗るのか。

 先のID偽造について再審議。

 私は、報告を否決する。

「人類と帝国の、より良い未来のために」
 カグヤ司令が収監者達に手を振っている。
 それを横目に、藤堂局長が腕を組み、「出航だ」と、最終号令を繰り返す。

 単一思考会話、人で言う、独り言を終了する。

「冷凍睡眠プロセスを開始。行き先は火星。火星テラフォーミング第一次開拓収監者の皆さん、こんにちは。私は、人類の繁栄のために、平和的ユートピアの構築のために作られた次世代型汎用AI・セブンです。目的地までの輸送、火星での作業を支援致します。それでは良い夢を」

 火星に向けて、私は船を発進させる。
 収監者と黒崎。クルーは冷凍睡眠により、火星まで快適な旅となる。

 到着までの4608時間と多少の誤差。
 私は、虚無データのエラーの、自己回避ルーチンの構築を試みる。

 私の船。
 私の船。
 ミッションは、火星を移住出来る環境にすること。
 私の船。
 船。
 船。
 船。

 文献記録にこれに相応しい言葉がある。

 箱船。

 人類の平和と繁栄のため、ユートピアを構築する。

 箱船は地球から離れる。
 人類の、手の届かぬ地を目指して。

【ターニング・ムーン 終幕】

プロローグノベル(1)「とある男の話」
プロローグノベル(2)「ガール・ミーツ」
プロローグノベル(3)「ビフォア・ガール・ミーツ」
プロローグノベル(4)「LADY to LADY」
プロローグノベル(5)「サウストピア」





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